月明りの下で

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泣くことがなくなった。

 

「わんわん泣いた」という文章を読んで

ふと自分を見つめ直してみた。

 

最後に泣いたのはいつだっけ。

自分の為に泣いたのはいつだっけ。

 

思い出せない。

 

事あるごとに泣いていた泣き虫の私はどこへやら。

感受性が豊かすぎると呆れられた私はどこへやら。

 

そういえば

中秋の名月・満月の夜に泣いてみようと思い立って

昔の写真や手紙を引っ張り出して

体育座りで眺めてみた。

月明りの下で読んでみた。

 

結論から言うと泣けなかった。

そのかわり、蹲って動けなくなった。

 

泣けなくなったからといって

忘れることはできないみたい。

10 years

幸せだったとも不幸せだったとも言えない10年。
凄く幸せとも凄く不幸せとも言える10年。
何だか過ぎてしまえばあっという間だった。

私たちは確かに大人になったし
優しさを知ったし
いろんなことを許せるようになった。
それと同時に諦めることも覚えた。

久しぶりにちゃんと向き合ったその顔は柔らかくて
手も繋げなかった。
昔よりも少し低くてゆったりとした口調に
好きだなんてとても言えなかった。

少し太ったね。
肌も荒れた。
今年も焼けはじめたね。
短い髪も似合うよ。

好きなものに夢中になるのも
昔から器用に何でも熟すのも
責任感が強くて抱え込んじゃうのも
いつでも周りに気遣ってるところも
私の考えをお見通しなところも
笑うと目尻に皺が寄るのも
少しも変わらないね。

そんなあなたを、相変わらず私は尊敬してる。
私はまだあなたのようになりたいと思ってるよ。

一生あなたに片想いし続けるんだろうな。
あなたも同じでしょう?

「10年、ありがとうございました」
「こちらこそ


我慢

私はある一つのことに我慢強いほうだ。


その「ある一つ」というのは、世間でいう「愛」と言われるもの。


昔、我慢しなかったせいで

愛する人を

振り回し、疲弊させ、壊しかけた過去がある。


壊れかける瞬間になって

漸く自分のしていることを客観的に見れた。

何故今の今までそんなことが

顔色一つ変えずにできていたのか

自分がおぞましく怖かった。


私は振る舞いを改めた。

最終ラインを越えない限りは極力自分の意思を遠ざけた。

「仕様がないよね」とか

「気にしないでね」とか

「大丈夫だから」とか

そんなことばかり言っていた。


でも、心は全然コントロールできない。

会いたい想いが募る

声が聞きたいと叫ぶ

触れていたいと泣く

こんな状況にしたのはお前なんだと叱咤する。


そんなことが、続く。

これからも続く。

それでも手を放すことができないの。


許してね。

上っ面の我慢ならまだ大丈夫だから。

だから許してね。

この我儘だけは許してね。

我慢できなくて、ごめん。


本当に欲しいもの

年を重ねるごとに「好き」が

理解できなくなる。

自信がなくなる。


「好き」だとか「愛してる」とか確かに想っていたはずなのに

いつの間にか、フワフワしたものに変わっていってしまってて

曖昧になってて言葉にできなくなる。


自分に言い聞かせるように口に出したら余計に嘘っぽくなった。


「好き」とか「愛してる」とか

10代のときには直感的に言えてたし

それで十分で楽しくって、幸せだった。

こんな悩むことじゃなくて、悩むことといったら相手がどう想ってるとかそんなこと。

すごく良い意味で軽かった。


戻りたくもあり、戻りたくない。


本当に欲しいのは

愛される自信とか、そういう種類なのかもしれない。

それがちゃんと飲み込めたのなら、疑わずに「好き」とか「愛してる」とか言える気がする。

好かれるとき

人に好かれるのは苦手だ。


好かれるっていうのは、つまり有り体に言えばlikeでなくLOVEの方。


たまに奇特な人がいて、アプローチしてくれるときがある。

女冥利に尽きるし、その人にとっては魅力的に感じるというのは

こそばゆくて嬉しいのだけれど

同じぐらい苦手だ。


なので、自意識過剰とか勘違い女とか上等精神で

「気になる」とかいう辺りから警戒し始める。

で、相手が褒めたりするところを悉く否定する。

「普通ですよ」

「偏屈ですよ」

「面白くないですよ」

「そんなことないですよ」

延々と滔々と。


それでも「気になる」から進んでしまうときがある。

そういうときに決まって私は相手を試し始める。

如何に駄目人間であるか、とか

如何に欠落しているか、とか

如何に今あなたの目に映ってる私が私でないか、とか

否定に否定を重ね続けて、結果、私一人が落ち込む。


そんな純粋な目で見ないでくれ。

そんなに私を信じないでくれ。


私は、当たり障りのないことや

きっと言って欲しいだろうことや

叱って欲しいだろうことを

さも分かってますよってな顔で垂れ流してるだけであって

それはあなただからじゃなくて

優しいからじゃなくて

甘いからじゃなくて


ただ、八方美人なだけなんだよ。


一人になると反省会は続く。